『透明な契約書』〜一〇〇億の自分に目覚める夜〜
【第一章:ボロボロの教会の絶望】
能登の潮風が吹き抜ける、古びた教会の神殿。 そこには、神様への不満をぶちまける「おっちゃん」がいた。
「神様、あんまりや。信者は来ん、金はない、嫁もおらん。雨漏りはするし、体はあちこちガタガタやし……。こんな不自由な体とボロイ教会、いっそ誰かに譲ってしまいたいわ!」
おっちゃんは、当たり前にある「今」をゴミのように感じ、投げやりになっていた。
【第二章:闇からの来訪者と一〇〇億の契約書】
深夜、神殿の闇に溶け込むように、一人の少年が現れる。
「おっちゃん……その『いらない体』、僕に貸してよ」
少年は一通の紙を差し出す。それは、一〇〇億円と記された契約書だった。 それを見たおっちゃんは腰を抜かす。
「ひ、一〇〇億!? これだけあれば、ピカピカの神殿が建つ。嫁も来る、贅沢三昧、俺の人生一発大逆転や!」 妄想に鼻の下を伸ばすおっちゃん。しかし、契約書の期限欄を見て血の気が引いた。 「期限:今日から一週間以内(うち三日間を貸与)」 「待て……一週間以内? ってことは、俺、一週間後には死んどるんか?」
【第三章:少年の叫びと「命の渇き」】
死の恐怖に襲われたおっちゃんは、必死で契約を拒む。
「やっぱりやめや! 一〇〇億あっても死んだら終わりや!」
おっちゃんは一発逆転の夢よりも一週間後自分の命がなくなるかもしれないという恐怖にかられ少年に断りを入れた。
「ごめん。せっかくの提案だけど、今回は本当に遠慮しておくわ、僕ごめんやで、堪忍してや……」
その時、少年が真っ赤な顔をして、大粒の涙を溜めて叫んだ。
「なんで!? おっちゃんにとってはゴミかもしれないけど、僕にとっては宝物なんだ! 小児がん病棟で寝たきりの僕らには、一〇〇億積んでも手に入らない夢なんだ! 」
「僕はね、自分の足でこの広い畳のお部屋を思いっきり走り回りたいんだ。 喉が渇いたら、冷たく冷やした水を、お腹いっぱい味わいたいんだ。 おっちゃんが当たり前にやってる『走ること』や『水を飲むこと』が、僕には一〇〇億の価値があるんだよ!」
…・続く。
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